1.釣具店の魅力に迫る
釣具店ほど細々した品々が集められた店が他にあるでしょうか。アイテムの取り扱い品目では恐らく一番点数が多い商売ではないでしょうか。
さまざまなハリの種類にその大小、ヨリモドシなどの小さな金具にしても各種サイズがあります。ルアーもまた、各タイプ、各サイズ、そしてウエイト、カラーも全部違ってきます。ルアーだけでも1万種はあるといわれています。

さて、竿、糸、ハリ、ウキ、オモリ、エサは釣りの六物といわれ、最近ではリールを加えて七つ道具と呼んだり、エサは別物として、ビクやクーラーボックスを数に入れるべきと考える人もあるようです。

これら六物や七つ道具の常備品に限っただけでも、各メーカーのカタログにある全種類を集めると、大変な数になります。
防実具やベスト、帽子や雨具、長靴など履き物類といった身に着けるものだけで、ちょっとした洋品店と同じくらいのスケールになってしまいます。

季節商品が多いのも特徴です。早春の渓流用品、初夏に向けてのアユ用品をはじめ、船釣りでもシーズン毎に各種のアイテムが並べられます。
薄利多売をモットーとする個人商店主に取り扱い商品の点数を尋ねてみました。3千点くらいでしょうかと、謙虚に答えてくれました。しかし、その数倍の商品があるのが現状です。

チェーン店のA社に尋ねてもはっきりとはわからないといいます。B社もC社も同様で、商品は増える一方で正確に数えたことがないというわけです。
コンピューターで商品管理する時代に、頼りない話です。そこで定番商品というか、常備品の点数はと質問を限定したところ、やっとチェーン店の中規模店舗で1万5千点から2万点という答えを聞き出しました。

最近目立ち始めたアウトドア用品も含めると、取り扱い商品は8万点にものぼるそうで、「いっぱいある」としかいいようがないのかもしれません。
釣りを始めようと思う人が、この膨大な商品の中から必要なものを選ぶとなると、迷ってしまうのが当然です。なにしろ店主や店員でさえ何種類あるのか即答できない世界なのですから。

しかし、考え方によっては、それだけ間口や奥行きがあり、複雑な楽しみがあるといえるでしょう。
釣りはまたローカル色豊かなものです。地域の気候や地形といった自然条件の遣いで、エサや仕掛け、当然、魚種も違います。
とにかく、釣具店とは釣り人にとって夢の実現に一歩近づけてくれる宝の山なのです。


2.現代釣具店事情
釣具店はかつて、個人営業の専門店が中心で、釣り人口に応じて同じ町内に何軒もあるケースもありました。
それぞれの店に常連がいて、得意な釣り、好きな釣りの分野で情報交換が行われるという、いわば釣り人の社交場でした。

しかし、昨今では、都市部を中心にスーパーマーケット形式のチェーンの量販店が登場し、その勢力を拡大しつつあります。これは日常消費財の買い物が商店街からスーパーへと移行しつつあるのと同様、釣具店地図もここ十数年で大きく塗り変わっています。

量販店はメーカーからの直接仕入れや、卸問屋からの大量仕入れで値引率を高めており、また、広い店舗での豊富な品揃えや、広告による客寄せにも成功して、どんどん店舗数を増やしています。

一方、個人経営の専門店では生き残りを賭け、ホットな釣り場情報を提供したりして、店の特色や個性を顧客にアピールしています。価格面においても、量販店と遜色ない値引率で対抗していますが、一部の商品では問屋を通してのマージンが加算されるなどで限界があるのが実情です。

つまり厳しい戦国時代にあるわけですが、釣り場に近い専門店ではエサの販売に主力を置き、営業時間も釣り人の行動を反映して週末はオールナイトというところもあります。
また昨今のブームを反映してルアーの専門店、フライの専門店が出現する一方、オリジナル商品を並べた船釣り専門店や、和竿や手作り商品の専門店、さらにはヘラブナ釣りの専門店、渓流やアユ釣り用品が主力の店と、個性化、専門化が目立つ傾向にあります。

専門店でも量販店でも、商品を販売する一方で、釣りのノウハウや釣り場情報も提供しています。よりよい釣り人を育成する第一の機関ともなりうる場だと思われるので、釣り場でのマナーや釣り人としてのマナーもサービスしてくれないものかと考えたりもします。

量販店の進出が重なり、シェア争いの安売り合戦は消費者の立場からいえば嬉しいことなのですが、少々気がかりなこともあります。

最近の量販店のほとんどが製造メーカーの直販店的な色合いを持ちつつあるからです。
竿やリールといった主力商品の品揃えが、チェーン店の資本を出資しているメーカーの品物ばかりだったり、店やメーカーにとって利益率の高い一部の商品ばかりを揃えるといった具合で、販売戦略に消費者が巻き込まれ、選択の自由が損なわれているのが現状です。

これを防ぐには消費者が商品に対する知識を深め、ニーズを積極的に伝えることでしょう。それによって、各メーカーの間で順当な競争が行われ、優秀な製品が店頭に並ぶと思われます。

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