1.温泉と釣りを楽しむ旅
温泉・観光・釣り、この3つを十分に満たす旅を望むのは欲張りかもしれないが、最初のプランニングをしっかりやっておけばそう無理なことではない。
旅は旅行中と同じくらい、プランを練っている時も楽しいものである。

温泉と釣り、行き先きを決める時にどちらに比重をおくべきかといえば、特別に狙いたい釣魚がないかぎり温泉である。
日本に湧く約2500の温泉の95%は必ず周囲で釣りができるからだが、あえて季節的な問題として釣りから考えてみよう。

イワナ、ヤマメが禁漁になる渓畔の温泉はこの時期に出かけても釣りができない。そのかわり解禁当初に雪代を踏みわけ、顔をだすフキのトウを摘みながらの釣行は格別だし、暑い夏に沢を遡るすがすがしさもこたえられない。

湖のトラウト類も、地域や魚種によってちがいがあるが、冬場はほとんどが禁漁になる。しかし湖の場合はワカサギやヘラブナ、コイがいるので釣りができる。

清流はアユに禁漁があるだけで、ほかの魚は一部をのぞいて特別規制はない。釣魚が多いのは春から秋で、冬はウグイとオイカワくらいにかぎられるが、常設つり場のニジマスという逃げ場がある。

海は周年釣れるが、冬は季節風の強い地方は避けた方が無難。
ただし、逆に夏の投げ釣りは海水浴場になるところが多いので釣り場がかぎられてしまう。
それに海水浴場近くの宿は夏は予約を取りにくい。

2.好みのタイプの温泉地と予算で宿をきめる
季節から見て釣り場が特定でき、大体の行き先が定まったら今度は宿選びである。
宿の選定は好みのタイプの温泉地と予算で大きく左右する。

まず予算から考えると1泊2食付きで1万円以下、~2万円、2万円以上の3ランクに分けられる。
最近の温泉宿は高すぎるという声をよく聞くが、探せば1万円以下で、よい思い出になるすばらしい宿泊施設がけっこうある。

その筆頭が国民宿舎、国民体暇村、簡易保険加入者福祉施設、レクリエーションハイツ&いこいの村など公共の宿。

公共の宿はまだまだいろいろあって、大体において施設が整って快適なものが多く、なかには7~8000円で一般ホテルの1泊3万円以上の設備に匹敵する部屋もある。
食事は食堂でとるシステムが多く、これは利用法によっては部屋食より便利で、プライバシーが守れるのもありがたい。

民宿は設備の面では公共の宿におよばないものが多いが、そのかわり宿の人との交流があり、特に漁村の民宿では鮮魚店では売っていない珍しい、そして鮮度まちがいなしの魚料理に当たることもまれではない。民宿を少しオシャレにしたのがペンションで、これも温泉付きがけっこうある。

1万円以下の宿で最も注目したいのが歩かないと行けない、いわゆる車では入れない温泉である。

例えば東北なら八甲田の田代元湯、関東なら奥鬼怒温泉郷の八丁ノ湯や日光沢温泉などで、なかには2時間かけて山越えしないと行けない那須温泉郷の三斗小屋温泉もある。
歩かなくてはたどりつけないということはハンディでもあるが、逆にそれが魅力で通う人が多いことも事実。

大体においてこの手の宿は山小屋風できれいとはいいにくいが、素朴な―軒宿で、味わい豊かな内湯、あるいは露天風呂を持ち、川魚や山菜、獣料理が美味なところが多い。さらに周囲がすばらしい自然に囲まれていて、釣りは大体は渓流釣りになるが、目玉がとびだすような大釣りの可能性がある。平均6~7000円で、数倍の価値感を得られるタイプだ。

現在の温泉の平均的宿泊料金は2食付きで1~2万円である。
選んだ旅館によってこの料金は高く思える場合もあれば、えらく安かったように感じられることもある。

無難なのはサービスなどが事務的に思えるかもしれないが、収客人員の多いところを選ぶこと。

客数が少ない宿はアタリ、ハズレの格差が大きい。あたればすばらしいサービス、美味な料理で大満足だが、はずれたらその温泉地までいやになってしまう1~2万円の宿も夏休みや正月は2万円以上の宿に変身してしまう。そういう意味ではデラックスな気分を味わうなら3万以上の予算が必要かもしれない。

この手は歓楽温泉の高級旅館や高級リゾートホテルに多いが、釣りも目的にした旅には少しもったいない。
正月、夏休み、連体、週末の予約は早めに目的地と大体の宿のあたりがついたら予約である。

正月、春休み、夏休み、連休、それに土曜日は混むので、予定がたったらできるかぎり早く予約を入れる。
公共の宿は正月、夏休みは6か月前から葉書での申し込みを受け付け、抽選で決める。
伊豆まつざき荘で正月の予約申し込みの葉書を見たが、ダンボール2箱に数千枚の申し込み葉書が入っていておどろいた。

一般旅館の場合は旅行代理店を通すのもよい方法だ。
業者同志のその後の関係もあるので、旅館の待遇は料金以上のものがあるはずだ。
それに手間もかからない。

自分で申し込む場合は所定の手続きと同時に料金が税・サービス料込みか、別料金なのかを確かめておく。

この時ついでに付近に釣り具店があるかどうか、あったらその名前を聞いておいて、出かける前に釣況を問い合わせれば、釣り作戦が有利になる。

3.釣りが本命か、温泉がメインか?
釣りは温泉を本命にして釣りも楽しみたいという場合と、あくまでも釣りが目的で温泉は次の2派に分かれる。

釣りは朝まずめ、夕まずめが勝負なのだから、一般旅館や公共の施設では釣り時間帯に釣り場に立てないことがある。

釣りがメインなら民宿か船宿など、釣り人に慣れている宿に泊まる方がなにかと便利である。

船宿でも温泉を引いているところもあって、伊豆の伊東海岸では本来は船宿なのだが、現在は大きくなって一般旅館だか船宿なのか区別をつけにくい宿もある。温泉がメインなら本格的な釣り装備はやめて、持ち込む釣りもできるかぎり少なくすべきである。
狙いも大型魚を望まず、かるく竿をだすのが喜びといったレベルで楽しんだ方がいい。

それなら竿は渓流竿を用意する。渓流竿は長さが4m以上あるものでも、仕舞寸法が300mぐらいになるものもあって、これなら旅行バッグの底にしのばせてもかさばらずに持っていける。

か細く見える渓流竿だがパワーは海釣りにも通用し、20cm以上のメジナやクロダイ、ボラあたりならタモを使わなくても十分に取り込める。
それに海釣りの竿とちがって中型の魚がかかると、キュンキュンキュンと竿鳴りをして釣り味が抜群である。

オモリやはりなど小物は小さなタックルケースに入れ、釣っている最中はフィッシング・ベストのポケットに入れておけば旅行中も釣っている時も全くじゃまにならない。

エサは温泉、あるいは釣り場近くに釣り具店があれば現地調達だ。釣り具店がなければ出発前に自宅近所の釣り具店で携帯しやすいエサを仕入れておく。持ち運びに便利な小型ケースに入ったエサや配合の寄せエサを魚種別、あるいは万能などいろいろ売っている。

それに渓流・清流なら川虫、ミミズ、昆虫の幼虫などを現地で捕れば最高のエサになるし、海釣りでも磯、堤防についている貝類、力二、フナムシが好エサになる。

釣った魚は食べるか、それとも逃がす?
問題は釣った魚をどうするかである。
釣るのが楽しみで、特に食べるという目的がない場合は、釣れたらすぐに逃がしてやりたい。例え小魚といえども命は命である。

この場合は逃がす前に魚体をあまりいじらないように注意する。
いじりまわしてから逃がすと、魚体の表面のヌメリがとれて約50%は放されても死んでしまう。

持ち帰って食べる場合は鮮度を落とさないように気をつける。
問題はクーラーを持ち込むか否かである。クーラを持参しなくてもコイならぬれた新聞紙に包めば2~3時間、あるいは半日は生きている。場合によっては釣れるそばから、ワタを抜いて釣り場で干物を作ってもよい。

中型は開いて、小型は丸こと塩を振り、ヒモで結んで、日陰でも日当たりでもどちらでもいいから風通しのよいところに干す。
半日も干せば生干しができあがる。

アジやサバ、イワシの干物のおいしさは当然だが、イワナやヤマメなど淡水魚はそれに劣らないほど美味である。
クーラーを持ってきていればやはり氷を使う。

釣り上げた魚はエラの中か横と、尾の基部にナイフの刃を入れ、両手で魚の体をくの字に折る。
これでほとんどの血が抜けて魚の酸化のスピードが落ち、鮮度が保てる。
持ち帰る時は海水魚の場合は、氷の入ったクーラーに少し海水を入れてから魚を入れる。

ただし淡水魚の場合は水を入れてはいけない。
魚がメゴチ、あるいはワカサギの時はビニール袋に入れてからクーラーに入れる。メゴチは体の粘液でクーラーの中や他の魚をベトベトにし、ワカサギは匂いを移してしまうからだ。


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