魚の生態 1.どこにでも魚がいるとは限りません。川や海、湖沼もそうですが、人間生活と同様、魚にも居ごこちのいい場所、快適なオアシスがあります。

魚のいる場所とは、まず、身に危険のない安全な場所であること。次に、食べ物が探せる場所。そして、泳ぎくたびれたら休息でき、暑すぎたり、寒すぎたりしない快適な場所ということになります。

こうした条件を川、海、湖沼に当てはめてみると、どんな所に魚はいるかが分かるはずです。
川であれば、人が子づかみできたり、鳥や獣に簡単に襲われてしまうような、ピチャピチャの浅瀬には、よほどのことがない限り行きません。

危険を感じたら、サッと大石の影に身を隠すことのできる、ある程度の水深のある場所。そういった大石の下流には淀みができて、急流をまともに受けることなく、魚も休めるわけです。

しかし、じっとそこに潜んでいたのでは、上流から流れてくるエサにありつけません。エサの多い浅瀬へも狩りに行く必要があります。

ベッドがあり、レストランがあり、冷暖房の効いている場所。それからもう一つ大事な条件として、恋人に出逢えそうな場所というのも加わるでしょう。
具体的には流れに変化のある所、川と川の合流点、わき水のある所、取水せき下の深みなどが好ポイントといえます。

海ならば、魚礁と呼ばれる海底に立ち上がる岩礁帯に魚は集まります。水流が対流したりして、エサが多く、海藻も繁茂して隠れ家もあるからです。磯ならば、サラシ場と呼ぶ、波が打ち砕け、白い泡を作っている場所です。酸素が豊富で、波によって削り落とされる動植物が多く、魚たちにとっては格好のエサ場です。

河口部も魚の集まる好ポイントです。
新しく運ばれてきた土砂が浅瀬を作り、干潟ともなります。プランクトンが育ち、エビ、カニ、貝類も育ちます。それらをエサに稚魚が育つわけです。

港湾も魚にとっては魅力ある場所です。消波ブロックがサラシ場を作りますし、堤防が水の淀みを作ります。水揚げされる魚がこぼれ落ちれば、それを狙った掃除屋たちが集まります。
湖沼でも同じ。木立や建造物、ボート用の桟橋などの陰影部に魚は集まります。また、杭や捨て石などの障害物のある場所に、魚は安心を求めて集まります。

魚たちのレストラン、デートスポットを見つけるのが、釣りのポイントであり、楽しさでもあるわけです。釣り場を読むというのは、即ち、魚のいる場所を推理することです。優秀な探偵となり、腕利きの刑事になることです。


2.回遊魚と定着魚
回遊魚とはエサを求めたり産卵したりするために、広範囲の海域を定期的に移動する魚のことだ。定着魚は、狭い範囲を移動するだけで一生を終える魚のことである。

釣り情報誌の見出しに「アジ、シーズン到来」とか「イナダ絶好調」などという文字がおどると、季節のうつろいを感じるものだが、これは回遊性の魚が岸辺に近づいたことの証しなのだ。

また、シーズンを問わず釣れる魚もいる。各地にある海釣り公園でも、一年中楽しめる魚種が数種類はいるもので、カサゴ、ソイ、ベラなどがそれにあたり、定着性の魚ということになる。

しかし、定着性のイシダイやメジナなどは、季節によって浅場と深場を行き来し、防波堤から釣れる季節がはっきりしている。つまり、回遊魚でも定着魚でも魚は多少なりとも回遊しているので、釣行のさいにはねらった魚が釣れているかをたしかめる必要があるのだ。

暖海性、寒海性
防波堤に魚が多いとはいっても、南と北では生息する魚はちがってくる。九州でホッケを釣りたいとか、北海道でフエフキダイを釣ろうなんて考えてもムリな話。魚には温かい水を好むもの(暖海性魚類)と、冷たい水を好むもの(寒海性魚類)があり、日本の南北ですみ分けているのだ。

つまり、暖海性と寒海性で魚を分類することにより、大まかな魚の生息域がわかる。大まかにというのは、カレイなどのように種類の多い魚は、暖・寒を問わず生息するものもいるためだ。

さて、暖海性魚類とは、年間を通じて温かい海域にすむ魚のことで、赤道から北上する暖流域(黒潮と対馬海流の流域)に生息する魚がこれにあたる。

寒海性魚類はその逆で北洋から南下する海流域(親潮やオホーツク海流リマン海流)に生息する魚のことだ。

海流によって回遊魚の移動範囲と定着魚の生息範囲が決まり、土地ごとに人気の対象魚が決まってくる。


表層と低層
防波堤に多くの魚が集まる理由の一つは、急激な水深の変化があるから。魚はすべての魚類が同じ水深に生息しているのではない。

サヨリやボラなどは水面近くを泳いでいるし、アジやクロダイは中層、アイナメやカサゴは底層というぐあいに魚種によってすみ分けている。この生息域によって魚たちのエサもちがってくる。エサのちがいによって生息域がちがうのかもしれないが……

表層から中層に生息する魚は、おもに水面に漂うプランクトンや甲殻類をエサにする雑食性のものが多い。同時にそれらの魚をエサにする魚たちも同じ層に生息している。底層にも雑食性の魚とそれを食べる魚が混生している。大まかに分けると、定着魚は底層に生息するものが多く、回遊性の魚は中層から表層にかけて生息することが多い。

表層から中層に生息する魚を釣る場合はウキやミャク釣り、底層の魚を釣る場合には投げ込み釣りがおもになる。

3.昼行性と夜行性
魚を「昼行性」「夜行性」「昼夜型」に分類することで、釣りに適した時間帯も決まってくる。

メジナに代表される昼行性の魚は、夜は深場の安全な場所で眠り、昼間にサラシ(白波)のあるエサ場でエサをとる。

また、メジナは熟睡する魚のようで、夜釣りで釣れることはほとんどない。
アナゴに代表される夜行性の魚は、昼間は岩穴などに身をひそめ、暗くなってからエサをとる。夜行性の魚を釣る方法は当然夜釣りということになる。

昼夜問わずにエサをとるのがクロダイやスズキなど昼夜型の魚だ。このタイプの魚は昼でも夜でも釣ることができるが、一般的には夜のほうが釣果を上げやすい。

魚がもっとも釣れる時間を釣り人の間で「マズメ」とよんでいるが、これは太陽が昇ったり、沈む前後の時間帯のことで、朝夕のうす暗いときにあたる。つまり、釣り人が暗いうちから釣りに出かけるのはこの時間帯をねらうためなのだ。

河口部は釣りの対象となる魚が多く、代表的存在といえるハゼ釣りは古くから秋の風物詩として行われてきた。ハゼは底層(底の方)に生息する定着魚(回遊をしない魚)で、ほかにもイシモチ、ウナギ、カレイ、コチ類などが底の方に生息している。

最近では上層から中層部に生息するスズキ(シーバス)釣りも人気が高く、魚とルアーを使ってやりあうのもかなり豪快なものだ。
ほかにもイシモチ、クロダイ、シロギス、ボラなどが生息している。


砂利の魚
砂漠のような海底にも多くの魚が棲んでいる狙い目はオフシーズンの海水浴場自然は気の遠くなるような時間をかけて岩石を砕き、砂を作りだす。やがて砂は潮や波に運ばれ、一定の場所に巨大な砂溜まりを作る。

砂底の海は海草類も少なく、多少の起伏はあるもののなだらかに沖へと続く。一見砂漠の不毛地帯を連想してしまうが、そこはイシモチ、カンイ、コチ類、シロギス、ハゼ、ヒラメなどの宝庫。

ほとんどが回遊しない定着性の魚で、カレイやコチ、 ハゼ、ヒラメは水底にヘばりつき、体は砂の中に隠し、目だけを上に出して通る小魚をエサとしている。
体が保護色の彼らを、砂にへばりついている状態で見つけだすことはなかなか難しい

同じ定着性でも、インモチやシロギスは底層に近い場所を泳ぐ。エサは砂底にいるゴカイやイソメ類。また、海水浴場などで集団で泳ぐ青白い魚がシロギスだ。

岩礁の魚
磯には上物と底物がいる
岩礁は魚たちがエサをとったり身を隠したりにはもってこいの場所で、多くの魚たちの棲みかになっている。

定着性の魚が多く、岩礁のすき間などにはアイナメ、イシダイ、インガキダイ、ウツボ、カサゴ、ブダイ、メバルなど。
中層部にはイサキ、イシモチ、イスズミ、クロダイ、フエフキダイ、メジナなどがいる。

代表的な釣りの魚はイシダイとクロダイ、メジナでいずれも暖流系。釣魚としての価値も高い。

なかでも、イシダイは『磯釣りの王者』と呼ばれ、釣り味、仕掛けいずれも豪快に楽しむことができる。イシダイの歯は強力で、サザエやフジツボの殻を噛み砕いてしまうほどだ。メジナは『サラシ(自泡のある場所)を釣れ』といわれるように、昼間は潮通しのよい場所でエサを食べる。
また、タコ類も岩礁の代表種だ

防波堤の魚
ファミリー向けの釣り場
防波堤は人工的に作られた魚の棲みかのような場所で、海釣りの対象となる魚のほとんどが生息、または回遊してくる。

定着性の代表的な魚はアイナメ、イシモチ、カサゴ、カンイ、クロダイ、 コチ類、シロギス、メジナ、メバルやタコ類などあげれば切りがない。回遊性の魚ではアジ、イワシ、ウミタナゴ、カマス、サバ、シマアジやイカ類などが季節によって釣ることができる。

堤防釣りで最近人気が高いのがクロダイの『落とし込み釣法』。関西方面で生まれ、現在では全国に広がっている。

また、カサゴやメバルをルアーで狙う夜釣りも東北地方で盛んに行われ、効果的な釣法だ。
防波堤は釣り場としても比較的安全で、家族での釣りが楽しめる。基本的な仕掛けで数種類の魚を釣ることができるので、海釣りの入門として最適である。

沖の魚
船やボートでガンガン楽しむ
船やボートで狙う魚は、沖の表層ではイワシ、カツオ、シイラなど。中層ではアジ、イサキ、イワシ、カマス、サバ、シマアジ、ブリ。底層ではアイナメ、アナゴ、カサゴ、カンイ、シロギス、ヒラメ、メバルなどが代表的だ。

それらは底層に棲む魚以外はほとんどが回遊性。しかしひとくちに回遊魚といっても回遊の種類はさまざまで産卵回遊、生育回遊、採餌回遊、季節回遊に分けることができる。
産卵回遊とは産卵のために陸に近い場所に魚が寄ってくることで、防波堤などで釣れる回遊性の魚は、ほとんどがこれにあたる。
一方、中層から上層にかけて回遊する魚は生育、採餌、季節回遊のものが多く、アジ、イワシ、サバ、シマアジなどはもっとも一般的で人気の高い、回遊性の魚だ。

深海の魚
釣具の進歩で高級魚とご対面
水深200m以上の深場に棲む魚を深海魚と呼ぶ。手釣りや手巻きのリールでは釣ることが難しいため、対象となったのは最近のことだ。それだけに生息数も多く、大釣りが可能。対象となる魚はアコウダイやキンメダイなどで、いずれも食べて味がよく高級魚として扱われている。

アコウダイはカサゴやメバルの仲間で、生息する水深は300~600mを越え、地方によってはバラメヌケ、オオガサ、サンゴメヌケともいい、総称して『メヌケ』と呼んでいるが、これは釣り上げると急激な水圧の変化に耐えきれず、目や内臓が飛び出す姿からきている。

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