1.発展途上国では何が起きているか
日本のオートキャンプ・ブームが森林を破壊したという実例がある。といってもキャンプ場を作るために森を切り開いたというような話ではない。
最近では自粛により見かけることはほとんどなくなったが、一時東南アジア産の木炭がホームセンターなどで大量に売られていたことがあった。

これが問題である。1本の備長炭のように原料となる木を選び、1本1本切り、炭焼き釜でじっくりと焼くようなことはしない。森や林を一気に伐採し、工場で生産する。もちろん炭としての質はいいわけはないが、圧倒的に安かったため、大量に売られていたのだ。

特に東南アジア産のそれは、原料が今、保全を叫ばれているマングローブ。もちろん他の開発からすれば、キャンプ用の炭になった分量などわずかな面積ということもできようが、自然に親しむはずの活動が自然破壊につながることもあるということである。

ここでは発展途上国が抱える自然破壊について解説していく。しかし、裏にあるのは先進国の豊かな生活を支え、かつその先進国並みの生活水準をめざす発展途上国の立場であることは間違いない。こういった国との付き合い方を含め、より深く、考察していただきたい。

マングローブ林の開拓
熱帯、亜熱帯地方の海岸付近に形成される森林を榊成する木をマングローブと総称している。そして、ここの悪名高いのが、日本に輸出されているエビの養殖池である。

クルマエビに似たこのエビは、普通の魚屋の店頭に並び、天丼や天ぷらそばの値段をリーズナブルにし、エビの好きな日本人にとってはとても有り難いものである。だが、このエビが養殖されているのは、マングローブを切り開いて作られた巨大な海水の入る養殖池である。マングローブの森は河口部分に広がっており、生命を生み出し、育み、水を浄化する大切な場所である。

しかし、そこを切り開けば、生態系は大きく狂ってしまう。
だが、ではエビの輸入を制限すればいいのかというとそうはいかない。そこで生活している人がいる以上、彼らはまた次の、マングローブ開発で儲けられるものを探すだけである。どのような生活をするべきなのか、これは国家の問題であると同時に、国際問題でもあるということなのだ。

アマゾン川流域の水銀中毒
アマゾン川流域では、原始的な露天掘りで金が採掘されている。この模様は南米釣り紀行「オーバ」などにも出てくるとおりである。

ところが、この金を集めるのに水銀が使われている。金は特殊な酸以外で溶かすことはできないが、同じ金属ながら液体の水銀には溶け込んでしまう。

しかし、小石など他の物質は溶け込まない。この性質を利用して金を集めるのである。金を溶かし込んだ水銀からどうやって金を取り出すかといえば、加熱して水銀を蒸発させてしまうのだ。確かにこの方法では、確実にそして簡単に金が集められる。

しかし蒸発した水銀はどうなるのか。結果的に有害な水銀が流域に振り撒かれていることになる。それは水俣病の原因物質メチル水銀となって環境中に存在することになる。さらに直接、水銀の蒸気を吸い込む現場の職人たちはもっと悲惨である。もちろん、問題にはなっている。しかし、広大なアマゾンではなかなか禁止することができないのが実情だという。

もちろん、金は彼らの現金収入源となる。これで生活をしているわけだから。しかし、その金を求めているのは先進国なのだ。景気が不安定な現在、確実な資産として金を確保しようという人たちがいるのである。


2.曲がり角に立つレジャー・観光と環境
アウトドアブームが東南アジアのマングローブ林を破壊してしまったという例があった。このように意識していなくとも環境に負荷を掛けてしまうことはさまざまある。それはレジャーでも同じことだ。

ところが、環境整備にはお金が必要である。残念ながら収入がなければ、それは後回しにされてしまう。環境とレジャー・ビジネスの問題は切っても切り離せないという現実。しかし、表面だけのビジネスの論理で環境を仕切れば、結果的に観光の目玉であった環境はなくなり、レジャーもビジネスが成立しなくなる。

そして最近、このレジャーについてもさまざまな取り組みが行なわれている。その例を、東日本の代表・河口湖と、西日本の代表・琵琶湖に見てみよう。

法定外目的税。この耳慣れない言葉がキーワードになる。これを、全国に先駆けて実施したエリアが河口湖である。

バス・フィッシングのほか冬期を中心としたニジマスの放流で、今やゲーム・フィッシングの聖地とさえなった河口湖。

この河口湖で釣りをするときかならず必要なのが遊漁券と、それに付加される「遊漁釣り税」である。この税金は目的税であるので、使用が限定される。

河口湖の場合は駐車場やトイレの設置・整備だが、一般観光客が使用したとしても税は徴収されないという多少不公平感は残るが、市街地から離れた駐車場やトイレとなるとこれはもう釣り人の利用以外はほとんどないといっていいだろう。

もっとも本来は「完全受益者負担」が税金というものの基本なのだが、もう一歩突っ込んで考えると、ヨーロッパ諸国で多く用いられている「環境税」に近い存在に移行する前段階ともいえる。実際に関係者もそれをめざしているということだ。

ところで、この「法定外目的税」という地方税は、2000年4月地方税法の改訂にともない、地方自治体が独自に新税を作ることが、緩和されたことによってあちこちで生まれている新税である。

税の使用目的別に地方自治体自身で財源を確保するようにという、地方分権の考え方が根本にある。東京都の「ホテル税」、三重県の「産業廃棄物税」、岐阜県多治見市の「一般廃棄物埋立税」といったものがある。さらにこれらは環境保全目的を主に増加していく方向にある。

一方、琵琶湖でも「湖面使用税」の名の元に法定外目的税の導入が予定されている。これは水上バイクを中心に、ブレジャーボートにかけられるものだが、河口湖のそれと違うのは「税を徴収することで、環境に負荷を掛けている意識を利用者に持ってもらう(琵琶湖適正利用懇話会の提言より)」ことが目的であるという点であろう。

利用者への還元による観光の振興が目的ではないのである。これは水質保全の目的もあるが、騒音、事故などで地域住民からの苦情が多いということも影響している。それよりも早く、排気ガスに含まれる有害物質問題により、2ストロークのエンジンを使った水上バイクについては2002年半ばに禁止される。

2002年春に琵琶湖適正利用懇話会から滋賀県に提出された提言では、この法定外目的税の提案のほか、ブラックバスのリリース問題についても賛否両論を並記している。

2002年度の滋賀県の外来魚対策費は3億8000万円あまりだというが、試算ではバス釣りの経済効果は50億円を超えているということも、両論併記をせざるをえなかった理由のひとつといえよう。また、航行区域についての規制(徐行など)や、プレジャーボートの出航場所を限定するなども、この提言には盛り込まれている。

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