1.ブリは、成長するにつれて名前が変わる出世魚。関東地方では、ワカシ、イナダ、ワラサ、関西地方ではツバス、ハマチ、メジロと名前を変え、最終的にブリとなる。
よくある食べ方は、ブリの照り焼き、ハマチの刺身などだが、考えてみると、その逆のブリの刺身、ハマチの照り焼きには、あまりお目にかからない。なぜ同じ魚なのに、ブリは加熱調理、ハマチは刺身と決まっているのだろうか?
それには、ブリに含まれる脂肪分が関係している。大きく成長したブリには、その前段階のハマチよりも、より多くの脂がのっているのだ。
もちろん、脂がのっている刺身もうまいが、脂が強すぎても、消費者にはあまり好まれない。そこで、料理店やスーパーでは、
ほどよく脂がのっているハマチを刺身にし、脂が強いブリを照り焼きやブリ大根など、加熱調理したうえで提供している。
その逆の、ハマチの照り焼き、ブリの刺身もつくることはできるが、成長段階により適した食べ方として、ハマチは刺身、ブリは照り焼きが一般的になったのである。
ちなみに、似た魚なのに調理法が違うもうひとつの例として、ヒラメの刺身はあっても、カレイの刺身はあまり見かけないことがある。
こちらは、味ではなく、カレイの大きさに理由がある。カレイは、小ぶりのものが多いため、さばくと身が薄くなりすぎて、刺身にしにくいのだ。単にサイズの問題だから、大ぶりで新鮮なカレイが手に入ったときは、刺身にしてもおいしくいただける。
2.トロやハマチにわさびがききにくい
にぎり寿司を食べているとき、トロやハマチなど、こってりした魚に限って、ワサビがあまり効いていないと感じることはないだろうか?じつはこれ、気のせいではなく、トロやハマチに含まれる脂肪分のせいなのだ。
本来なら、ワサビの辛味成分が舌にじかに伝わるところが、
脂ののった魚の場合、脂肪分が辛味成分を覆うため、ワサビの辛さが舌に伝わりにくくなるのである。だから、ほかの寿司と同量のワサビを使っていても、脂肪分の多い魚ほど、ワサビの効きが悪いように感じることになる。
これと同じような現象は、寿司だけでなく、ほかの料理をつくるときにも起きる。
たとえば、パンにバターとマスタードを塗ってサンドイッチをつくるとき、先にマスタードを塗ってはいけない。
マスタードの上にバターを塗ってしまうと、脂肪が辛味成分をおおってしまうので、マスタードの辛さが半減してしまうのだ。辛さをいかして、サンドイッチをつくりたければ、バターを薄く塗った上から、マスタードを塗るのが正解だ。
そのいっぽうで、油分があるからこそ、刺激が和らぎ、料理がうまくなることもある。たとえば、野菜に塩をかけて食べてもうまいが、油や調味料が合わさったドレッシングをかけたほうが、よりまろやかな味が楽しめる。
これは、舌に伝わる塩の刺激を、油がブロックして和らげるためだ。刺激を残すのも消すのも、油分の使い方しだいなのである
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