1.釣りができる温泉(四国・九州)
『坊っちゃん』でおなじみの日本を代表する名湯と、歓楽度No.1のわが国最大の温泉。さらに平家落人のいで湯に、知名度全国区の砂湯で知られる温泉。
いずれも個性豊かで、魅力十分。アマゴの魚影濃い祖谷渓。投げ釣りがメインの指宿はちょっとひねって池田湖へ。イッシーには会えなくても、巨大ウナギは待っている

祖谷温泉 徳島県 池田町
剣山から発する祖谷川は途中多くの支流を集め、断崖絶壁の深い谷間に激流を展開して吉野川に合流する。
この祖谷川の下流部の谷間が祖谷渓で、数百mの断崖絶壁と渓流、それを彩る樹木の緑や紅葉、さらに谷をまたぐ素朴な吊り橋「かずら橋」など深山ならではの趣が十分の景観である。

ここはまた源氏に敗れた平家の残党が隠れ住んだ落人の里である。
人を寄せつけない地勢が落人に絶好の隠れ場所になったはずで、今でも数多くの落人伝説、遺跡が残っている。

かずら橋は敵に攻められた時に切り落とせるように作られたもので、東祖谷の阿佐家は平家清盛の子孫の家で、今も平家の赤旗を立てている。
断崖の上から深い谷にむかってオシッコをする名物の小便小僧。この小便小僧の近くにあるホテル祖谷温泉は200m下の谷底に湧く素朴な露天風呂にケーブルカーで下りるので知られる温泉宿である。

露天風呂の湯は少しぬるめだが、周りの雰囲気は抜群で、ホテル内の展望大浴場から見る渓谷の眺めもすばらしい。

釣り
祖谷川はアマゴが濃い渓である。本流は西祖谷山村辺りから釣れだし、途中激流部もあるが、渓のいたるところにポイントがある。
また支流の松尾川もアマゴが濃く、特に日比原付近が狙い。上流の松尾川ダムはニジマスがいて、スプーンで攻めるとおもしろい。


道後温泉 愛媛県 松山
夏目漱石の小説『坊っちゃん』では田舎町であった松山は今や四国最大の都市。
近代的なビルが林立する中心に緑豊かな松山城が威風を誇り、「春や昔十五万石の城下かな」と正岡子規が詠んだ城下町の風情も色濃く残って、新旧混ざったおかしな旅情が感じられる。松山に欠かせないのが市内をゴトゴト走るチンチン電車だ。
伊予鉄道松山駅から路面を20分ほどゴトゴト走るとレトロでハイカラな道後温泉駅に着く。

時代を遡ったような洋風の駅合で、プラットホームの外灯やベンチもタイムスリップしたような感じである。
聖徳太子や天智天皇が入湯し、万葉集や源氏物語に伊予の湯として登場する道後温泉は日本最古の温泉。

道後温泉のシンボルは約80軒の近代的な旅館が建ち並ぶ、温泉街の中央に建つ共同湯の道後温泉本館。明治27年(1891)に建てられた三層楼の建て物で、屋上には足を傷めた白鷺がこの湯で傷を治した、という伝説にちなんで白鷺を飾った振鷺閣があり、朝、昼、夕の3回刻み太鼓が打ち鳴らされて温泉情緒を深めている。

1階には大衆浴場の神の湯、2階は高級な霊の湯、そして3階には漱石ゆかりの「坊っちゃんの間」があり、本館東には皇室専門の又新殿がある。夜ともなれば温泉街はネオンが華やかに輝き、歓楽色も濃い。

釣り
釣りは三津港、高沢、松山観光港の投げ釣りだが、抜群の釣場とはいえず、キス、メゴチがポツポツという感じ。


別府温泉 大分県別府
鶴見岳、由布岳の裾野が別府港に続く一帯のいたるところに湯けむりをあげている別府温泉郷は、ひと口には旅館1000軒、源泉数4000か所といわれるわが国きっての大温泉。

中でも別府、観海寺、亀川、鉄輪、柴石、浜脇、堀田、明磐の8か所は「別府8湯」と呼ばれ、それぞれちがった環境にある。
町は昔から温泉として栄えていただけに古い建物が随所に残り、別府地獄やケーブルラクテンチなど見どころも多く、華いだ歓楽ムードも十分ならむかしながらの共同湯もあり、温泉療養施設もいくつかある。

温泉郷の中心は駅前から駅前通り、流川沿い。そしてR10沿いに約700軒の温泉旅館が建ち、バーやキャバレー、みやげ物店が軒を連ねる別府温泉。
繁華街がそのまま温泉街になっていて、ネオンがともる頃になると浴衣姿の観光客がどっとくりだし、華やぐ表通りから暗い裏通りに一歩足をふみ入れると、あちこちの物陰から女の誘いもかかって怪しげな雰囲気が漂う。

別府観光のハイライト、別府地獄が集中しているのが温泉郷のひとつ鉄輪温泉周辺。
いたるところから温泉の蒸気が空高く噴出し、別府とはまたひと味ちがった趣がある。
旅館は全部で約150軒。近代的なデラックスホテルもあれば、自炊専門の宿もある。

釣り
別府温泉から最も手近な釣り場は客船やフェリー、大分空航を結ぶホーバークラフトが発着する別府国際観光港。
キス、アジ、イワシなど小物が主だが、潮が満ればクロダイも釣れ、朝夕のまずめはルアーにスズキもヒツトする。


指宿温泉 鹿児島県薩摩半島
鹿児島県の南西に突き出す薩摩半島は指宿温泉を中心に開聞岳や池田湖、さらに趣をかえた多くの温泉を持つ魅力の観光フィールドである。
半島東南端、錦江湾入口にあたる海浜に湧く指宿温泉は源泉を800も持つ湯量の豊富なことで知られる九州屈指の温泉で、海浜4kmにわたって約80軒の旅館が散在している。

旅館・ホテルは近代的設備の整ったデラックスなものがほとんどだが、その中に約10軒の自炊のみの湯治宿も混ざっている。
デラックスホテルではジャングル風呂を名物にするところが多く、南国ムードの混浴を楽しみにする行楽客で賑わっている。
指宿といえばやはり招ガ浜の砂蒸し。

砂蒸し温泉は指宿市によって運営され、受け付けは砂むし会館によって行われる。
浴衣を着て海岸の砂浜に寝て砂をかけてもらう。顔だけ出して体が砂に埋まると海岸に湧く温泉熱が体に伝わってポカポカとする。10分も入れば汗でぐっしょりとなる。
この発汗が神経痛、リューマチ、痔疾、それに肥満に特効があるのだ。

釣り
指宿海岸は周年キス釣りが楽しめる投げ釣りの好ポイント。
砂浜からキャストしてもよいが、ところどころにある堤防から投げる方が飛距離が少なくて楽だし、広く探れてぐんと有利である。

淡水釣りなら大ウナギとイッシーの池田湖がおもしろい。
春から秋にかけてはマブナとコイ、冬はニジマスが狙いになるが、透明度が高いので慎重に釣る。なお大ウナギはあくまでも観賞用

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