1.どこでどんな魚が釣れるの


どこでどんな魚が釣れるのか、これを細かく調べるのはたいへんなことです。
というのも、日本は四方を海に囲まれており、南北に長く、島も非常に多いからです。

豪雪地帯もあれば、二毛作、二期作も可能な土地もあり、海抜1000m以上の山上湖もあれば、背骨のような山脈から流れる血管のような大小の河川もあります。
全国の湖沼はもちろん、農業用のため池や、用水路も含め、列島を取り巻く海岸線をも考えると、日本の釣り場は無数にあると誇れるでしょう。

さて、まず有名な山上湖やダム湖ではワカサギが釣れます。ニジマスなどのマス類も放流されています。足の便の良さに比例して、ブラックパスやコイなどが生息する湖が多くなります。

次に、河川の源流部から上流部にかけてはイワナやヤマメが、上流から中流にかけてはニジマスやアユ、ウグイ、オイカワ、中流から下流はコイ、フナ、クチボソ(モツゴ)、ナマズ、ウナギのほか、テナガエビやタナゴも生息しています。

利根川などでは、ソウギョやレンギョ、ライギョなど中国大陸からの移殖魚も珍しくありません。最近では北米からのニジマス、ブラックパス、ブルーギルが勢力を広めています。
河口付近では、ハゼ、セイゴからスズキ、ボラ、マルタにクロダイ、ウナギも姿を見せます。適応力の強いコイやフナを見つけることも可能です。

湖沼・ため池でもたくさんの魚種が釣りの対象となります。ワカサギやコイ、フナ、モロコやモツゴ、タナゴ、ブラックパスやブルーギル、ライギョ、ウナギやナマズと賑やかです。
海ともなれば対象魚は更に広がります。

防波堤や港の桟橋からは小アジや小サパ、イワシ、コハダ、ボラ、ハゼ、さらにはセイゴ、クロダイ、アイナメやメバルなども狙えます。

砂浜からの釣りでは、シロギスやカレイ、イシモチ(シログチ)、ハゼが中心。
季節や地域によってはヒラメやイナダなどを狙う人もいます。
小磯(小規模な岩場)では、クロダイや小メジナ、ウミタナゴやサヨリ、カワハギ、カサゴ、カマスなどが対象魚です。

外洋からの荒波が打ち砕ける荒磯では、イシダイやブダイ、メジナ、シマアジ、ヒラマサ、スズキなども狙えますが、かなり危険が伴うので初心者にはすすめられません。ボートに乗れば、陸からでは届かないフィールドにも出ていけるので、淡水でも海水でも対象はグンと広がります。

また、船長が魚のいる場所に釣り人を運んで、狙いの魚を釣らせる遊魚船という船釣りのシステムもあります。これはほとんどの海水魚を対象にします。


2.魚の食性を知ろう
魚の生態や習性を知ることが釣りを上達させる必須条件。とりわけ、魚が何を好んで食べているかを知ることが釣りを始める上で一番大切です。

動物性のエサを好むか、それとも植物性か。
その食性は一年中変わらないのか、季節によって変化するのか。
また地域によっても違うのかと、いろいろなケースがあるわけです。
魚の中にも美食家がいたり、悪食家がいたり、好みのうるさい偏食家もいたりします。

たとえば、マブナとヘラブナ、そしてコイでは明らかに食性が異なります。
マブナは雑食性ですが、釣りではキジと呼ぶミミズやアカムシ(ユスリカの幼虫)など動物性のエサを使います。

一方、ヘラブナは植物性のエサを主食としており、釣りではジャガイモや穀物の粉末などを水で練った練りエサを使います。
コイも雑食性ですが、釣りでは主に植物性のエサが使われることが多いようです。サツマイモの角切りや、配合エサの練りエサをダンゴ状にして用います。

アユは成長すると川底の小石や岩についたコケ類を削り取って食べます。そのため口唇はクシと鎌の役割を果たす形状に発達し、泳ぎながらも鮮やかに削り取ってゆきます。エサで釣れないのはそのためです。

動物性のエサに執着するブルーギルは口に細かな歯をいっぱい持っています。
同じく小魚を主食とするブラックバスもエサを捕まえるのに便利な薗をたくさん持っています。
海の魚のクロダイは悪食の王といわれたりしますが、釣り場や釣り方によってずいぶんエサが変わります。

堤防でのヘチ釣りには、小ガニをエサにしたフカセ釣りが有効です。また、サナギ粉やオカラを団子状にして寄せ集め、小エピで釣ったりもします。また、地域によってはスイカの角切りをエサにウキ釣りで狙ったりもします。

身近な魚であるハゼでは、本来ゴカイを好むようですが、最近では入手が難しくなり、アオイソメやジャリメを代用したりしています。
ハゼの場合、キジ(ミミズ)に軍配の上がる時期や、地域もあるようですから、エサの選び方、ハリへの付け方、その大きさなど、魚の食性を理解してから判断しなければなりません。

予想に反したり、例外も一部にはありますが、基本的にはその時期に食べ慣れているエサが一番です。違和感なく安心して魚が食べるからです。
そこで、狙った魚が何を食べているのか、時期によっての特エサとは何か、よく調べておく必要があります。


3.どんな時に魚は釣れるか
比較的いつでも釣れる管理釣り場と違い、天然の釣り場での魚の活性は、さまざまな自然条件に左右されます。

水温も大きく影響します。急な冷え込みで水温が下がると、魚は一時的な冬眠状態に入って、エサを追わなくなります。
水温上昇が活性を与えるキーポイントではありますが、真夏のように上昇しすぎると、酸欠でグロッギー、食欲どころではなくなるようです。

川の釣りでは、一般にある程度雨の降った後の薄濁り状態、いわゆる笹濁りのときが釣りのベストチャンスとされています。雨の降り始めも、条件的にはいいのですが、傘さしながらの釣りはわずらわしいもの。

まとまって雨が降ると、川は濁流となり、魚はエサが見つけられず、流れの緩やかな物陰や岸辺でじっと濁流をやり過ごします。
濁流が笹濁りまで回復すると、腹ペコの魚たちは必死にエサを求めます。
こういう状態のとき、川には雨が集めたエサもたくさん流れており、薄濁りのため魚の警戒心も少なくなっています。

反対に、晴れた日中には釣り人の姿が魚の方から丸見えになるのか、釣り人の方でも見える魚はなかなか釣れないものです。
そこで笹濁りが期待できないときには、まだ太陽が高くない早朝とか、夕方に狙うのが正解です。朝夕は魚たちにとっても食事タイムです。朝マヅメ、夕マヅメと呼び、積極的にエサを追う時間です。

小磯や堤防などの海の釣りでは潮の干満が大きく影響します。
一般的な好条件は、まず大潮の前後、そして潮が満ちてくる時間帯、次に潮の変わりばなです。満潮や干潮のピークを潮止まりと呼びますが、その潮止まりから、動き出すときも狙い目です。

風向きは沖から岸に向かって吹き込むとき、つまり少々波立つ状態がベスト。海底が撹はんされて濁りができ、岸壁のエサも集められるからです。シケの前にもよく釣れます。魚たちには海が荒れるのが予見できるのか、まるで食いだめでもするかのようです。

しかし、この場合、大波をかぶるだけでなく、波にさらわれる危険もありますから、充分に用心が必要です。シケ前とは、軽い低気圧の通過をさしますが、大シケとも呼ぶべき台風の前などは話が別です。

台風のウネリは海の場合、いち早く伝わります。大した波ではなさそうに見えても、1000回に1回は大波がくるものと考えて間違いありません。
釣りに行って、ただ漠然と竿を出していても魚は釣れません。このように、魚の釣れる時間帯(釣りでは時合と呼びます)をつかむことも大切なのです。


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