魚の食事タイムのライズはチャンス!波紋を見分けて釣ろう
1.
川や海には、水の外の気温と水の温度がいちばん近づく時間帯があります。夜のうちというのは、水は温かく空気は冷たくなって温度差は激しくなります。
朝がきて太陽が上がって気温が上昇してきて、水温と気温がもっとも近づくとき、それを「朝まずめ」といいます。
そして気温が下がってきて、水温の下がり方が遅いために気温と水温の差がなくなるとき、夕方になっていちばん水温と気温が近づいたときを「夕まずめ」といいます。
朝方と夕方に水棲昆虫は流れに浮かんで、ぱかっと背中が割れて羽化して飛び立ちます。ただ川の流れの中でそういう行動をしなくてはいけないものだから、羽化してもすぐに飛び立てるわけではないんです。そのままヨットみたいに10メートルから20メートル流れるわけです。それからやっと飛ぶ。
だから羽化して飛ぶまで川を流れるあいだが、フィーディンバラインになってしまうのです。そのラインにそって定位している魚がパコンパコンと虫を食べます。パコンと魚が口を出して食べるのを上から見ると、
川面に波紋ができるんです。これを「ライズ」といいます。
フィーデングタイム、つまり魚のお食事時間になると、ライズが五月雨式にいろんなところで起こります。まるで雨がふっているように波紋が起こる。
このライズが起こるところに魚が待ち構えているのは確かだから、にせ物、つまりフライを混ぜてやるわけです。1回、2回と本物を食べたあと、3回目ぐらいにこのにせ物をパコンと食べさせる。
ところがこの流れてきたときフライの形が違っていたりすると、魚は見向きもしない。それと、流し方にドラグがかかるというのですが、糸が流れに引っ張られてへんな動きをしてもだめです。いかに自然に、ナチュラルドリフト、ナチュラルな流し方をするかが大事になる。それがテクニックになるわけです。
2.
フライには、大きく分けるとドライフライ、水中のウェットフライがあります。
フライフィッシングのいちばんの醍醐味は朝まずめ、夕まずめにライズしているときにドライフライで釣ることです。管理釣り場で水棲昆虫がハッチする季節に出くわして、ドライフライで釣る練習ができたらラッキーです。管理釣り場でもなかなかドライフライでは釣るのはむずかしい。
半日、そこの場所でライズが起こるだろうと待っていて、いざライズが起こってもたった15分ぐらいで終わってしまうこともある。長いときで30分ぐらいでしょうか。
ライズというのはフライをする人にとっていちばん心ときめく時間ですから、準備しているときにライズが起こったりするとあせってしまってなかなかフライが結べなくなってしまうほどです。
ライズという波紋は、それほど心ときめくもので、よくテレビドラマで死体が湖に浮かんでいるシーンがあると、フライをする人は死体のむこうにライズが起こっていないかな、と思ってしまうものです。
「このあいだの映画見た? いいライズが起こってたな」なんて会話をしているんです。僕は新幹線に乗っていても、鉄橋に来ると川を見て、一瞬のうちにライズがあったかどうかわかるようになりました。たまに雨で間違えるときもありますけど。
ライズの波紋というのは、魚が跳ねてできる波紋とはぜんぜん違って、大きな魚がもぞっと口を出して虫を吸い込むときにできる波紋です。
跳ねてできる波紋とは違う。水面を流れる虫が羽化してから水中に卵を生むために水の中にジャンプしてきたり、水面をうろうろしていたりするときがあって、それを魚がジャンプして食べるときもあります。それはそれでまた釣り方があるんですけれど。
ま、これがフライのあらすじです。初心者ならば4番か5番のロッドでそれに適応したラインを買って、ライズがあるようであれば、すごい乱暴なんだけれどもフライはドライのエルクヘアカディス、ウェットのヘアーズイアーを推薦します。
魚がどのようにして自然の虫を食べるのかを考えて編み出されたテクニックということを頭に入れて練習してください。
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