ウロコは人にとって邪魔だけど外敵から守ったり栄養を貯めれる!
魚のウロコ
1.魚の調理でやっかいなのが、体中にびっしりついたウロコ。下処理でキレイにこそげ落としておかないと、食べたときに口の中がモゾモゾして、料理の味が台無しになってしまう。

しかし、人間には邪魔に思えるウロコも、魚にとっては外敵から身を守るための大切な鎧。プラスチックのようにかたいウロコを身にまとっているおかげで、海の中を浮遊している障害物や、ごつごつした岩肌にぶつかっても、体を傷つけられずにすんでいるのである。

ウロコの形は、魚によって異なり、大きく4つの種類に分けられます

葉状鱗
葉状鱗は、他の鱗よりも薄く半透明で、硬化したエナメル状の層や象牙質層がありません。魚が成長するにつれてさらなる鱗が同心円状の層に追加されるのが特徴です。

葉状鱗は頭から尾への配置構成で屋根瓦のように重なっているので、体表全体に水の滑らかな流れをつくりあげ、流体抗力を減らすことができます。

葉状鱗には、円鱗と櫛鱗という2つの形状があります。


円鱗(えんりん)
円鱗は滑らかな質感で、外側の端部や縁でも滑らかさが均一なのが特徴です。

サケ
アユ
コイ
マイワシ
メダカ

櫛鱗(しつりん)
櫛鱗は円鱗に似ているますが、外側または後部の縁に沿ってcteniiと呼ばれるギザギザ又は小棘があるのが特徴で、これら小棘があるため、この鱗はざらついた質感です。
マダイ
スズキ
ハゼ
マゴチ
クロホシマンジュウダイ
フエフキダイ



楯鱗(じゅんりん)
楯鱗は、サメやエイといった軟骨魚類に見られます。楯鱗は中央の髄腔に血管が通っており、象牙質の円錐形をした層で囲まれ、その全てが真皮の上にある基底板の頂部に据えられています。楯鱗は大きさが成長しませんが、魚のサイズが大きくなるにつれて、より多くの鱗が追加されていきます。
サメ
エイ

稜鱗(りょうりん)
稜鱗は鱗と同じ機能をもちますが、表皮から形成される魚の鱗とは異なり、稜鱗は皮膚の下血管層で形成され、表皮要素は一番上の表面のみです。

そのなかでも、人間が見てわかりやすいのが「円鱗」と「櫛鱗」のふたつ。

一枚一枚がビッシリ重なっていて、形の丸いものは「円鱗」と呼ばれ、コイやフナのウロコがこれにあたる。いっぽう、「櫛鱗」はギザギザしているのが特徴で、タイやスズキのウロコなどがこれ。

ところで、ウナギのようにぬるぬるした魚や、ザラザラの″サメ肌″をもつサメ にウロコはあるのかというと、小さくて見えにくいが、顕微鏡でのぞくとウロコが並んでいることがわかる。

ちなみに、危険を察知すると体をプーッと膨らませるハリセンボンのトゲも、ウロコが変化したものだ。 さて、そのウロコ。体を守るほかにも、さまざまな機能をもっている。

まず、人間が食べても何の味もしないが、あの一枚一枚には、カルシウムなどのミネラル分が貯蔵されていて、血中のカルシウムなどが欠乏すると、自動的にウロコから補給されるようになっている。魚のウロコは、栄養分の貯蔵庫でもあるのである。

もうひとつは、水圧や概動などを察知するセンサーとしての働きだ。魚の体の両側にある側線に並ぶウロコには、穴が開いていて、水圧の変化や振動を察知している。そのセンサー機能によって、魚は自分の位置や敵の存在を把握している。

ウロコの一枚一枚には、魚が水中で暮らすための便利機能がギュッと詰まっているのである。背中やお腹の色の違い カツオやマグロ、サンマなど、多くの魚は、背中が青く、腹が銀灰色に輝いてい る。これは、少し高いところから見下ろせば、背中の色が海の色と同化し、海中から見上げると、腹の色が海面の色と同化するからである。

じっさい、海中から海面を見上げると、太陽の光でキラキラと銀色に輝いているものだ。 つまり、背中側を海と同色系にしておくことで、カモメやトンビの目をくらますいっぽうで、腹側を水中から見上げたときの海面の色に近くすることで、深いところを泳ぐ大型魚から狙われにくくしているのだ。

また、コハダやアジ、サンマ、サワラ、キビナゴ、キスなど、寿司屋で「光もの」と呼ばれる魚は、背中が日光に反射して光り、海面の保護色になっている。これなら、海の浅いところを泳いでも、海鳥に襲われる危険性が減る。

2. ちなみに、海底に棲んでいる定着魚には、赤や青といった派手な色をしているものが多い。これは、定着魚の多くが自分のテリトリーをつくって棲息しているからで、彼らにとって最大の敵は、自分のテリトリーに入ってくる同族の魚。

そこで、自分と同じ体色のものをすばやく発見して追い払うため、目立ちやすい派手な色をしているのである。 夜で色を変える 魚の名前には、その姿を形容したものが少なくない。

たとえば、サンマは漢字で「秋刀魚」と書くが、これはサンマの体が「刀」に似ているところから。ハリセンボンは、体を膨らませたときに出すトゲトゲの針が、1000本もあるように見えることからつけられた名前だ。

ところが、「アカヒメジ」のように、体が赤いわけでもないのに、名前の一部に「赤」がついている魚もいる。これは、アカヒメジが死ぬと、体全体が真っ赤に変化することからつけられた名前。

釣り上げられた死体に命名されたわけで、いささか気の毒なネーミングではある。そのアカヒメジ、生きているときと死んだときで色が変わるほかに、昼と夜とでも体色が異なる。昼は自地の体に黄色い帯があるのだが、夜になると白地の部分が薄っすら赤くなっていく。

ただ、こうした体色の変化は、アカヒメジに限った話ではなく、多くの魚に見られる現象で、一般的に、魚の体色は昼より夜のほうが薄くなる。では、魚たちはどうやって体の色を変えているのだろうか?

魚の体色の変化は、黒、赤、黄、青、白の5色素と、光を反射する虹色の細胞の働きによるものだ。魚の目に光が差し込むと、その刺激をキャッチした色素細胞が拡張・収縮する。これによって、体の色が変わるのである。

ところが、なかには体色だけでなく模様まで変えてしまう魚もいる。たとえば、南国のダイビングスポットでよく見かける「ヤリカタギ」は、昼間は白地に杉綾模様の斜めのラインが入り、ヒレや尻尾の先をイエローに染めた涼しげな魚。

ところが、夜になると、体の側面に暗褐色の太い帯が出現し、その帯にふたつの大きなハンテンが浮かびあがってくる。夜に出会うヤリカタギは、パジャマに着替えてすっかりリラックスモードといった雰囲気だ。

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