マダイ、クロダイ、キンメダイ…みんな本当にタイなの?・地方名/タイ、カスゴ(若魚)、ホンダイ、 チャリコ(幼魚)、マコダイ、オオダイ、サクラダイなど
・分布/北海道以南
・釣り場/沖、磯

「左側から撮ったほうが、右よりも写真写りがいい」などと、写真うつりにこだわりをもつ人がいる。

人間の顔は、微妙に左右対称ではないので、左右にこだわる人が出てくるというわけだ。 じつは、魚のタイにも、似たような話がある。高価なことで知られる天然のマダイは、左目がきれいなもののほうが、より値段が張るというのだ。

では、なぜ右目ではなく、左目がされいなほうが、価値が高いのだろうか? 最近でこそ、養殖のおかげで、タイはそれほど珍しい魚ではなくなったが、今でも天然もので1~2キロある大ダイは、お祝いの席などで出される高級魚である。

その場合、タイは切り身にされず、尾頭付きのまま塩焼きにされることが多いため、頭や尻尾までが欠けることなく残っていなければならない。

さらに、タイを皿に盛るときには、頭が左にくるように置くという盛りつけのルールがある。皿の上で表になるのは左目がある側になるので、左目がきれいであることが求められるのだ。というわけで、右目よりも左目が重視されるのは、調理後の盛りつけを考えてのことだったのである。

1.特徴
マダイの体色は生息環境や季節によって異なる。成魚は全体に赤みがかった美しいピンク色をしており、体側に小さな青斑が散在し、尾ビレの後縁が黒っぽい。生息地が浅くなると体色も褐色っぽくなる。春の産卵期の雄は婚姻色により体色は全体に黒っぽくなる。体形はクロダイやチダイ(ハナダイ)によく似ていて側扁している。

幼魚や若魚は体型体色ともチダイによく似ていて間違われるがチダイにはエラブタの後縁に血のような真赤な縁どりがあることで区別できる。マダイの体長は最大で1m以上にもなるが釣れるのは40~60cmクラスのものが多い。

北海道南部以南の日本各地の沿岸の水深20~100mの岩礁帯周り、砂泥底、砂礫底などに生息し、エビ、カニなどの甲殻類、イカ類、貝類、イソメ類なと、を捕食している。近縁種にはチダイの他にキダイ(レンコダイ)がいる。名の通り体色が黄赤色で、上アゴから頭上部にかけて鮮明な黄色斑があり、眼の前方がくぼんでいるのが特徴。

チダイより水深のある砂泥底や岩礁域に生息し暖かい海域を好む。日本ではマダイは「めでたい」に通じることから消費量も多く、食べられる魚類のトップといってもよい。身は自身で淡白だがほのかな甘朱があるので刺し身、松皮造り、焼き、揚げ、煮つけ、椀種寿し種あらいなどにされる。

2.釣り方
マダイ釣りは地方によってさまざまな釣り方がある。神奈川県・鴨居沖ではマダイ用豆テンヤを使用したテンテン釣り(鴨居釣り)、千葉県・内房から南房総でのサイマキなどの生きエビをエサにしたシャクリ釣りや千葉県・外房の大原沖のビシマ釣りなどがあるがここでは一般的な釣り方のコマセシャクリ釣りを紹介する。

船頭さんの指示ダナより5~6m下からコマセを振りながら指示ダナに仕掛けがくるようにするとよい。常にエサがコマセの中にあるようにする。

エサはオキアミを使用し、小さめのものは抱き合わせに、大きなものは一匹でよいが、まっすぐに付けること。曲っているとエサが回転をしてマダイは食わないので注意したい。また、大型のマダイを狙う時に生きイカの一匹掛けで釣るイカダイなどもある。


マダイ、クロダイ、キンメダイ…みんな本当にタイなの?
数々のことわざに登場するタイ。 おめでタイの語呂合わせと、ほんのり赤いところも縁起がよい。そんなところから、祝いの席にはタイの尾頭付きというのが、土日からのお約束になっている。

いわばタイは、魚の世界の老舗高級ブランドといえるわけだが、ブランド品には おのずとニセモノがつきもの。魚の世界にも、名前の一部にタイとついた魚は数百種もいる。マダイ、イシダイ、イボダイ、クロダイ、アコウダイ、アマダイ、キンメダイ、ブダイ、エビスダイ、ヨコシマクロダイ、キダイなど、ちょっとあげただけでもこのとおり。

じつは、タイと名のつく魚は350種もいて、そのなかにはタイとは名ばかりで、ほかの種類に属する魚も数多く含まれている

生物学的にタイと認められるのは、スズキロタイ科の海水魚である。これにあたるのは、マダイ、キダイ、クロダイ、チダイ、キチヌ、ヘダイなど。これらの魚なら、「私はタイです」と名乗っても、クレームがつくことはない。

そのいっぽう、体つきがタイと似ているという理由程度で、タイと名づけられているものの、スズキロでもなければ、タイ科でもないという魚も数多くいる。

ちなみに、イボダイは、スズキロメダイ科。キンメダイは、キンメダイロキンメダイ科。生物学的にはタイではない。 それにしても、タイを名乗る魚がこれほど多いのはなぜだろうか。言うまでもなく、その多くは、マダイのブランド力にあやかったものに違いない。

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