1.海釣り場
日本近海にいる魚は数百種類に及ぶが、このうち釣りの対象になっているものは百種類くらい。そのなかでも特にひんぱんに釣られているものはせいぜい50種類くらいである。
これらの魚をねらうには磯や港、河口などの陸側から釣るほか、船によっても可能だ。それぞれのねらう場所や方法で釣れてくる魚がちがってくることはいうまでもない。

海釣りの釣具
海釣りに使うサオの分類と使い分け海釣りのサオには、大きく分けて陸からの釣りに向いている『磯ザオ』と『投げザオ』、船釣りで使う『船ザオ』、ルアーを使用するときに使う『ルアーザオ』の4タイプがある。最近では魚別に多くの種類のサオが市販されているが、基本的にはこの4つが進化したものと考えていい。

まず、磯ザオは中層から上層の魚をウキを使って釣る『上物ザオ』と、底にいる魚を投げ込み仕掛けで釣る『底物ザオ』に分けられる。

小型~中型の磯にいる魚を狙う上物ザオは、磯ザオの1~2号(5=前後)程度のもの。サオ全体のしなりが柔らかく、サビキ釣りやウキ、フカセ釣りなど広く使用できる。クロダイやメジナ釣りに使われるのはほとんどがこのクラスだ。また、カゴを使った釣りには少し硬めの3~4号程度のものが使いやすい。

底物ザオはイシダイやカンパチ、クエなど底の方にいる大物を狙う場合に使う。
代表的なものに『イシダイザオ』やクエ、カンパチ、マグロなどの超大物を狙うものもある。

投げザオはイシモチ、カンイ、シロギスなど遠投の必要のある魚用だ。基本的には大型になる可能性のあるイシモチやカレイ、ヒラメには硬めのものを使い、シロギスなど小型魚には軟らかめのものを使う。

船ザオにはカレイやシロギスなどが対象の小物用ザオと、マダイやヒラマサなどビシやカゴを使う中型用サオ、アコウダイやキンメダイを狙う深海用ザオがある。いずれも対象魚に合わせた専用ザオが市販されている。

サオにはグラス繊維を使ったグラスロッドとカーボン繊維を使ったカーボンロッド、そして竹ザオがあるが、現在では弾性が高く、軽量であるという理由でカーボンロッドが主流になっている。


2.潮まわりとは?
ご存じのとおり、地球は月と太陽の影響で1日に1~ 2回、海面が高くなったり(満潮)、低くなったり(干潮)する。

この干満の差は毎日一定ではなく、少しずつ変化しながら繰り返される。つまり、干満の差の小さい若潮から始まって、徐々にその差が大きくなり、中潮から大潮になった後、今度は差がなくなって中潮から小潮、そして最も差の小さい長潮となって、再び若潮ヘと戻る。これを潮まわりという。

長潮、若潮は1日だが、大潮、中潮、小潮は2~ 4日ずつ続き、約半月で1サイクルとなる。

朝、千潮の時間が知りたいなら潮時表を、その時のその海の淳肝立などを知りたいなら、淳肝立表(タイドグラフ)を入手する。

“潮時''とは
海釣りの世界では、上げ7分とか下げ3分などといういい方がされることがある。この7分とか3分というのは、その日の干満の差を十等分して、上げ7分なら、干潮から満潮になる途中の7分目の時間帯を差している。下げ3分なら、朝からか干潮の途中の3分目というぐあいだ。これを潮時と呼んでいる。

潮まわり、潮時と釣りの関係は、一般に、魚は潮の動きのよい時のほうが釣れる傾向がある。したがって潮まわりでいえば、小潮前後よりも大潮前後の日のほうが干満の差が大きいぶん、潮の流れもよいので、釣りには有利だ。ただし、これは絶対的なものではなく、潮の速すぎる釣り場では、むしろ潮の緩い小潮前後のほうが条件のいいこともある。

一方、潮時については、「上げ7分から下げ3分がよい」といわれるが、たしかにその傾向もあり、特に浅い釣り場では、干潮時には水が少なくなって、釣りにならないことがある。 しかし、これも絶対的ではなく、水深のある防波堤では、上記の潮時にかかわりなく、潮が動いているかどうかが重要になる。

したがって、実際にその釣り場でよく釣れたのはどんな条件だったかというデータを積み重ね、それを次回の釣行に役立てるのがベストの方法だろう。

変温動物の魚に影響大の海水温
魚には、それぞれに活動の適水温があり、高すぎても低すぎても活性は弱まる。温帯域の魚なら、一般的には18~ 23℃ぐらいがよいが、寒流の魚は高水温に弱く、暖流の魚は低水温に弱いといったこともある

関東周辺では、13℃ 以下では活性が急激に悪くなり、小魚などはほとんど釣れない。それが14℃ に上がると活性も上がってくるが、15°Cから14°Cに下がった場合は、とたんに活性が落ちる。このような海水温の影響は、冬から春にかけてよくみられ、夏から秋、初冬にかけては神経質になる必要はない。20℃ 前後なら、多少の上下は影響しないようである。

ただし、大平洋側と日本海側というような地域差によっても、魚の水温に対する適応力は違っているようだ。


3.釣り糸の代表はナイロン
釣り糸の種類近年の技術進歩で市販の釣り糸はひと昔前に比べると飛躍的に丈夫になり、細糸での釣りが可能になった。

細糸は水の抵抗を受けにくいため、的確にポイントにエサを送り込める。
このように細糸の使用を可能にしたのは、技術の進歩もさることながら、さまざまな素材が釣り糸に利用されるようになったからだ。

現在、釣り糸として利用されている原料はポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フロロカーボン樹脂、超高分子量ポリエチンン(PP)など。

なかでも、ひんぱんに使われているは、ポリアミド樹脂のナイロン糸やケプラー、フロロカーボン樹脂系の糸、PPなどの素材だ。これらの糸にはそれぞれ、伸縮率や吸水性の有無、比重に違いがあるので用途によって使い分ける。

初心者はスピニングタイプが使いやすい
海釣りで使用するリールは、スピニングリール、片軸リール、両軸リール、電動リールに分けることができる。

スピニングリールは操作が簡単で、初心者でも手軽に操作でき、遠投力にも優れている。反面、両軸タイプのものに比べ、巻き上げの力が劣っている。
小型や中型のものはクロダイ、メジナなどのウキ釣りに使うが、磯や防波堤の小物全般に利用することができる。利用範囲が広いので、初心者はまずこれを購入することをお勧めする。

大型のものは、遠投が必要な場合や、カゴを使った釣りで使用する。また、シロギスなどのように超遠投が要求される釣りには専用のものを使う。
片軸リールはタイコリールとも呼ぶ。ハンドリールを1回転させるとスプールが1回転、ほかのタイプのリールには必ずあるドラグ機能もついていない。



ハリの特性を知る
代表的なハリの種類
海釣りで使うハリの種類は1000以上もあるといわれるが、実際に釣りで使用するハリはそのうちの1割程度。

古くは、関西地方では重さ、関東では長さが基準となって表示されていたが、最近では号数に統一されるようになった。
基本的には号数が大きくなるとハリも大きくなる。ハリの種類には丸型、長型、角型、ネムリ型、ヒネリ型がある。
丸型のハリはフトコロが広く、軸が短いのが特徴で、メジナやクロダイバリがこれにあたる。

長型は軸の長いハリで、目が小さいわりに一気にエサを飲み込んでしまうカンイやキス、ハゼなどに用いられる。
角バリは海タナゴなど、小型の魚に効果的だ。

ネムリ型はハリ先が内側に切れ込んだハリで、飲み込んだ状態ではハリ掛かりしないが、吐きだそうとすると切れ込んだハリ先が日に掛かる。いったん掛かるとなかなか外れないので『地獄バリ』とも呼ばれている。

ムツバリやヒラマサバリなどがその典型だが、アコウダイやキンメダイなどの深海魚釣りにも使う。

形は同じでもサイズの違うものを数多くヒネソ型はハリ先が左右のどちらかにひねられたもので、直線の力だけではなく横の力でもハリ掛かりするように作られている。刺さる力は弱まるものの、いったん掛かればかなり外れにくい。

手モト部分が平たくつぶされたものが一般的だが、イシダイなどの大物用のハリには環つきのものもある。
最近では専用のハリが市販されているのでそれを使えば初心者でもOK。釣りに行く際は同じ形でも大きさの違うものを数種類持って行くようにすると、なおよい。

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