魚を釣ったはいいけれど「自分では無理!」とリリースする人が増えているらしいのですが、それはもったいない気がします。釣りたての魚はとても新鮮で美味。ぜひとも自分で調理までしてほしい。

それに最初からうまくさばける人なんていない。ここでは道具から、さばき方を紹介。とにかくやってみましょう!
※注)刃物を取り扱う際にはくれぐれもご注意ください

point 1.魚のしめかた
さばき方の前にしめかたを紹介します。釣った魚をシメた方がよい。釣り人が、釣ったばかりの魚に包丁を入れて、血を抜いている光景を見たことはないだろうか?

それは「活け締め」といって、魚の鮮度を保つワザ。なぜ、水槽で生かしておくよりも、すぐにしめたほうが、鮮度を保てるのだろうか?

それは、血液をすばやく抜くと、微生物の繁殖をおさえられるため。 魚のエラや内臓に棲息している微生物は、魚の死後、増殖して、やがては筋肉へと侵入しはじめる。その「微生物の運び屋」になるのが、 魚の血液なのだ。

血液には、栄養成分が豊富に含まれているため、微生物が繁殖しやすい条件が整っている。しかも、エラの部分には、毛細血管が集中しているため、微生物は血管をとおって、死んだ魚の筋肉にどんどん侵入してしまうのだ。

また、へたに生かしておくと、味が落ちてしまう理由は、もうひとつある。魚が苦しんで暴れると、ATP (アデノシン三リン酸)と呼ばれる物質が分解され、うま味成分が次第に少なくなってしまうのだ。

釣った魚をすぐにしめるのは、鮮度を保ち、うま味成分を残すためにも、必要不可欠なことだったのである。




包丁
魚をさばくには、出刃包丁や柳刃包丁などの和包丁がベストではあるが、よく使われている文化包丁でもよほどの大型魚でなければ十分にさばくことができる。

さばきやすい30cmまでの魚をたくさんさばいて一連の手順と包丁の扱いに慣れることが大切だ。ただ近年は文化包丁ではなく、セラミック製の刃が薄い包丁がメインという家庭もある。

これは切ることには特化しているが、硬いもの(魚でいうと骨)を断ち切ったりすることには向かない。やはり使い勝手がよい文化包丁が入門にはベストだろう。

ウロコ取り
魚のウロコを取るための道具。 魚をさばいたことがない人にはなじみがない道具だろう。金属製が古くから使われているが、 最近はウロコが飛び散りにくいものや、金属以外の素材でできたものもある。包丁の刃でウロコを取るより安全かつきれいに取ることができる。

まな板
以前はどこの家庭でも木製のまな板が使われていたが、 だんだん樹脂製が増えてきた。現在ではかなり薄いタイプもある。ベストはやはり木製ではあるが、 樹脂製でも新聞紙を上に敷くことで十分対応できる。またさばいた新聞をそのまま丸めてしまえば片付けも楽々。


下処理
ウロコ、エラ、ハラワタをとれば、それだけで塩焼きや煮付けにできる。
たくさん魚を釣った場合にも、下処理をすませてから冷蔵庫または冷凍庫で保存しよう。

ウロコをとる
流水で一度体表のぬめりと汚れを洗い流し、片手で魚の頭部をしっかり押さえて、尾ビレ側から頭へ向けて包丁をやや立て気味にしてウロコをはぎとる。刃
の各所を使って背ビレの際やお腹のウロコなども細かくはいでおこう。

エラをとる
片手でしっかり魚をつかんでエラブタの下側から包丁を入れて、中のエラを切り離す。このエラには魚の血がたくさん集まっている場所でにおいの原因。ウロコとハラワタは取ったのに「においがする!」という場合は、エラの存在を忘れているかもしれない。しっかり取っておこう。

ハラワタを取る
片手で魚を押さえ、お腹の真ん中に包丁を刺し、お腹方向へ切り進み、肛門まで切ったら刃を逆に向け、頭方向へ向かって切っていくときれいにお腹が切り開ける。あとはハラワタをかき出し、背骨にある血合い(血がたまっている部分)に包丁で切り目を入れ、きれいに水洗いし、キッチンペーパーなどで水気を取れば下処理完了だ。

2.3枚おろし
下処理が済んだら次のステップへ。魚をさまざまな料理にするには「3枚おろし」が基本となる。骨やヒレが邪魔をしてはじめはうまくいかないかもしれないが、それはごく当然なこと。ゆっくり丁寧にさばいてコツをつかんでいこう。

①頭部を切り離す。片手で魚を押さえ、胸ビレの下からエラブタに沿って、包丁を入れたら反転させ同じように切れ目を入れる。頭部と胴体をつなぐ中骨を切るときは刃先を中骨に縦に刺し、少しずつ切っていく。一気に切ろうと思わないこと。力の入れ具合に注意してゆっくり行おう。

②頭部を切り離したら、腹側を手前にして腹から中骨に沿って尾まで包丁を入れる。骨に包丁がきれいに沿うと「カタカタ」という感触が伝わる。片手はしっかりと魚に手を添えてズレないようにしよう。

③中骨の上をすべらせるように包丁を入れ続ける。このとき尾ビレの手前に縦に切り目を入れておくと、あとで身を切り分けやすくなる。

④中骨に包丁を沿わせ、片手で身を持ち上げるようにして包丁を入れていく。骨に包丁を沿わせる感覚を忘れないこと。慣れてくると、これがスムーズにできるようになる。

⑤一度で切り分けるのは難しい。中骨に沿わせつつ、片手で身を持ち上げるように開きながら何回かに分けて包丁を入れていくとよい。慣れてくるとこの回数が減ってより身をきれいに切り分けられる。

⑥魚をひっくり返して、今度は肩口から背ビレ、中骨に沿って包丁を入れて切り進む。最初に背ビレの際から包丁を入れておくのがきれいに身を取り分けるコツ。

⑦同じように身を片手で軽く持ち上げつつ、中骨に沿って包丁を入れていき、切り分ける。

3枚おろし完成

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