1.川釣り入門
日本は川に恵まれた国で、しかもその最上流から河口まで、実にさまざまな魚が生息し、その釣り方がそれぞれ開発されている。
源流山の奧を流れ、滝や切り立った険しい場所が多い。水温は低く、魚種はイワナのように冷たい水を好むサケ科の魚がいる。釣り方は、いわゆる
渓流釣りだが、釣りだけでなく、険わしい谷を歩くことがかなりの比重を占める。いわば、釣りと登山がドッキングしたような釣り方である。
河口の釣り
この領域は本来なら川の釣り場に入るのかもしれないが、河口周辺では、海水が入ってくる(汽水という)のにつれて、海の魚が入ってくる。ハゼ、スズキ、カレイ、ボラ、クロダイ、サヨリなどが、岸からの投げ釣りやポートで釣れる。
河口のターゲット
メインはシーバス
河口部でのメインターケットといえばソルトウォータールアーフィッシングの代表格ともいえるシーバスだ。河口部周辺に集まるベイトフィッシュ(エサの小魚)を追って回遊してくるシーバスたちは食欲旺盛で、条件さえ把握していればかなりの高確率でシーバスゲームを楽しむことができる。
特に春の稚アユ遡上や冬の落ちアユのシーズンはこれらを捕食するためかなり活発になるので、絶好のチャンスだ。また、河口の場合は水量によって釣果が左右されることが多いので、情報収集は欠かせない。
シーバスの他には手軽に素晴らしいファイトを体験させてくれるボラやマルタ、そしてライトタックルケームの人気者ともいえるメッキがいる。
水量と干満で判断
ひとくちに河口部と言っても範囲は広く、慣れないとどこを釣ればいいのか判断に困ってしまうだろう。ポイント選びのひとつの目安としては河川の水量がかなりのウエイトを占めることになる。水量が豊富で常に安定しているようであればかなり上流まで海の魚たちは入り込んでいく。
ただし潮の干満の影響を受けやすく、干潮時に流れが速くなると、そのカケ上がり周辺がポイントになることも多い。干潮により川幅が狭くなればシーバスたちの通り道も当然狭くなるので、ジックリ粘ってみるといいだろう。また、流れ込みなどもベイトフィッシュが豊富でいいポイントとなる。橋ゲタ周辺は居着きの魚が狙いとなり、スレていることが多いので、それなりのテクニックが必要だ。
磯釣り
磯、つまり岩場からの釣りである。こうした場所は足元から急深で湖の流れが速い。従って、さまざまな魚が集まりやすく、いいポイントを構成する。磯の典型的な対象角としてはイシダイ、クエなどの超大物から、メジナ(グレ)、クロダイ(チヌ)、シマアジ、ヒラマサ、イサキなどの中層を泳ぐいわゆる上物のほか、フエフキダイや力サゴ、アイナメ、ヒラメなど底層にいる魚まで広く集まる。
上流源流ほどではないが、水温はまだ低く、イワナのほかにヤマメが中心となり、場所によってはニジマスなども放流されている。水は澄んでいて、きれいな所が多く、源流の釣りのように危険で険しい場所を歩くのとはちがった普通の渓流釣りが楽しめる。釣り場のヤマメ、イワナは漁協が管理しているため、ここで釣りをするには入漁料が必要である。
中流さらに下流にくると川の流れは次第に緩くなり、水量は増してくる。川幅も広くなり、川は本流の様相を呈してくる。この付近の代表的な角はアユである。ウグイやオイカワ、コイなどもいるが、釣りの中心は何といってもアユだ。アユはナワバリをもつ魚で、ナワバリをおかすものには体当たりしてくる。
この習性を巧みに利用したのが友釣りである。アユは通常6~7月に解禁され、9月には大半が終わる。シーズンは短いが、それゆえに熱中する人が増えている。下流になると川の流れはさらに緩くなり、ときにはよどんだような場所もある。
こうした場所の代表はコイだ。大きなものでは1mを越えるものも出る淡水の大魚である。近年コイの放流が盛んになり、魚影が非常に濃くなってきている。また、各種の釣り具、釣り方が研究されて、むずかしいといわれたコイ釣りが簡単になってきている。釣り方としてはリールを使った投げ込み釣りが普通である。
山上湖標高の高い山の中にある湖で、多くはダムでできた人工の湖である。このため、水温が低く、冷水性のサケ科の魚、イワナ、ヤマメ、ニジマスなどが中心である。また、同じく冷水に強いワカサギも放流されている湖が多い。サケ科の魚は主にルアーで釣れる。
一方、コイ、ヘラブナも放流している所があり、こうした湖では夏、下界が暑さでうだっているとき、べラ釣りが行われている。湖、池平野部の湖、池の中心的な魚はヘラブナである。小さな池などはその池のもつ能力いっぱいにフナが放流されていて、実質的には釣り堀と変わらなくなっている。
しかし、大きな湖ではまだ自然な感じは残っている。こうした池、湖にはアメリカ原産のブラックバスがいて、これをルアー、フライで釣る人も多い。
プラックバスはルアーによくアタックし、フッキングしてからも激しく暴れることから、最近特に人気が高い。
釣り堀管理された特定の地域に養殖の魚を放して釣らせる有料の釣り場である。
都会の真ん中でもプールのような、池を作り、ここにヘラブナやコイを放して釣らせている。特にヘラ釣りは盛んである。
また、山の渓流では川を区切ってニジマスを放流して釣らせてくれる。この釣りはだれでも簡単に楽しめるが、簡単すぎてすぐに飽きるのが欠点である
2.磯のターゲット
ヒラスズキが主役となる
磯の主役はやっぱりヒラスズキだ。とても神経質な魚なのでサラシが出ていないと釣りにならないことが多い。従って、ある程度は海が荒れていることがヒットの条件だ。いずれにせよ潮通しのいい所がポイントとなる。
シーズンは初夏が最も多くのヒットを得られる時期で、冬場に釣れるヒラスズキは数こそ期待できないが、サイズは大きい。また場所によっては河口にも姿を見せる。
ではヒラスズキを狙いにいってサラシが全く無かった場合にどうするか。こんな時はカサゴが立派に代役をつとめてくれる。ミノーやソフトルアーを使い比較的簡単に釣ることができる。またソイもカサゴと同様に磯でのターゲットで、特に東北方面ではソイを専門に狙う人も多い。
釣れておいしいアオリイカ
磯でシーバスを狙っているとちょっと変わった引きに出会うことがある。ゴツッというアタリを合わせるとなかなか動かず、暫くするとスィーッと寄ってきてしまう。釣り上げてみるとなんとタチウオ。夜になるとこのように色々な魚が接岸してきている。
また、磯での変わった対象魚?としてアオリイカも上げられる。たまには美味しくいただける釣りもいいだろう。ソルトルアーマンの中には所詮イカだろとおっしゃる方もいるが、ことアオリイカに関しては侮れない。
乗った直後の引きは(イカはヒットというより乗るといった表現になる)イカとは思えないほどの強烈な引きがある。2kg、3kgなんてサイズにもなればロッドは折れんばかりでとりこになる人も多いようだ。
知識
川の釣りは海とちがってあまり特別なものは必要としない。服装などは普段着をそのまま使っても十分通用する。しかし、アユ釣りだけは特別で、水の中に深く入るので、できれば専用のものを利用したい。もちろん、渓流やヘラ釣りでも専用のウェアなどは、やはり釣りに便利に作られているから、余裕があればそろえるにこしたことはない。
ヘラブナ釣りヘラ釣りは釣りとしては非常に高度なテクニックを要求されるが、釣り堀利用の場合は、ほかのニジマスなどでも同様の格好をしていけばいので、まず最初にこれを説明しよう。服装は特にこれでなければならないというものはない。最近のヘラ釣りはおしゃれで、ゴルフと同じような格好をする人もいる。
ただし、雨に備えてカッパだけは忘れないこと。カッパの素材は防水だが、通気性のあるゴアテックスのようなものが最高。ヘラ釣りでは、自分が使うサオと仕掛け、エサをこねたとき手を拭くタオルもいる。
ヘラをすくうタマアミや入れておくブラシは釣り堀にあるのが普通である渓流、清流川の中に入って釣るので、まず足を濡らさないためのウェーダーと呼ばれる長靴が必要である。これは底にフェルトが張ってあるタイプで、腰まであるズボン型がおすすめ。股下までの長さしかないヒップブーツは、深い場所まで入ることができないからだ。
ポイントを求めて歩き回るこの釣りでは、装備はすべて、身の周りに付けておく。ポケットの多いベストに仕掛けやハリ、オモリなどを入れておくほか、獲物を入れるビクやエサも腰のベルトに固定しておく。
また、ポイントがよく見える偏光グラスがあったほうが有利である。サオは5-6mの振り出し渓流ザオ。
アユ釣りアユ釣りは最も高度な釣り方である。入門するにも、独特の釣り具、装備が必要だが釣りのおもしろさは最高なので、ぜひこの壁を乗り越えて楽しんでほしい。まずサオなどは友人から最初は借りるとしても、服装だけはそろえなければならない。
シャツは水に入れてもすぐに乾く不思議な新素材・ポリプロピレンなどでできたものがあればいい。ベストは深い場所まで立ち込むため、丈の短いショートベストがいい。足周りではタイツがいる。
オトリを操作したり、掛かったアユを取り込むためのタマアミ。これは将来引き抜き法による取り込みを目指すなら枠の径が36mのものがいいだろう。また、釣られたアユやオトリを入れておくために、オトリカンと引き舟がいる。オトリカンはエアポンプ付きが便利である。
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