1.サビキ釣りについて
サビキ釣りは防波堤釣りの中では、最も手軽に楽しめる釣り方で、初心者にうってつけである。
サビキ釣りは魚の皮(カワハギ、サバ、ハモなど)や、ビニール、ゴムなどをハリに巻いたサビキを枝バリ状につけた仕掛けで釣る。
サビキ釣りには、寄せエサをまきながら誘う「誘い釣り」と、カゴの中に寄せエサをつめ、誘いのたびに拡散させる「カゴ誘い釣り」がある。
誘い釣りはおもに防波堤などの釣り場で使われる。サオに負担がかからない釣り方なので、渓流ザオなどでも釣ることができる。リールを使う場合も磯ザオの小物用や万能ザオとよばれる安価なサオでよい。
カゴ誘い釣りは、カゴを仕掛けの上か下のどちらかにつけ、オモリも使用するため、腰のしっかりしたリールザオが必要になる。
サビキの仕掛けは市販されているものを使えばいいが、自分でつくる場合は、サバやアジの皮を茶色になるまで数日間かげぼしし、ハリに巻く
というのも、
対象魚はほとんどが回遊性で、それも大きな群れを作って回遊する種類が多く、いったん群れに当たれば、大量に釣ることが可能だからである。
代表的な魚にはマアジ、イワシ、サバがあげられる。イワシはさらに細かくいうと、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシになるが、釣り方は同じである。ほかにサッパやコノシロなどもよく釣れるし、外洋に面した所ではムロアジ、ソウダガツオ、小型シマアジ、タカベ、ワカシ(プリの幼魚)なども釣れてくる。
道といってもウミタナゴやチンチン(クロダイの幼魚)、シマダイ(イシダイの幼魚)、メバル、ボラ、小メジナ、サヨリなど、多彩な魚がかかってくるのでおもしろい。さらに、サビキ仕掛けにハリ掛かりした小魚へ大型のフィッシュイーター(魚食魚)が食いついてくることもある。
イナダブリの若魚やヒラメ、スズキが代表的で、離島の防波堤ではヒラマサ、カンパチ、時にはアオリイカまで食いつくことがある。これらの大物を釣るのが目的で、そのエサ確保のため、サビキ釣りでアジなどを釣る人もいる。
2.サビキ釣りをプランニングする
対象魚と釣り場を決める
情報を集めどこで何が釣れているかを確認し、潮時表などで釣行日を決める。
必要な釣り具をそろえる
サオは4.6~5.3mの磯ザオ1.5~2号が基準。リールは小型のスピニングタイプでよく、適合号数の糸を巻いておく(適合号数はリールに表示されている)。そのほかに必要な道具もチェックする。
仕掛けを準備する
サビキは市販のものを使う。ハリの大きさや色のちがうものを数種類用意しておく。コマセカゴやオモリ(重さのちがうものを数種類)などの小物の準備も忘れずに。
寄せエサを準備する
アミエビなどの冷凍エサは解凍までに時間がかかるので、前日から常温で解凍しておく。必要に応じて配合エサの準備もしておく。
竿
水果の浅い防波堤では、手返しよく釣ることができるリールなしの振り出しザオ(渓流ザオなど)を使うと有利になる。長さ5~6m前後のサオなら、魚の泳層にあわせて、上層から底まで攻めることができる。
サオよりも水架のある所や、沖目をねらいたい時は5.3mを標準とした磯ザオがいい。
1~ 2号ザオが使いやすいが、沖目ねらいでは3号ぐらいの強いサオのほうが向いている。
また、軟らかめの投げザオを使ってもいい。
リール
リールが必要な場合でも、小型のもので充分である。3号の道糸が150m巻ければいいだろう。
サオ下を攻める場合は、小型の両軸リールも使いやすい。ただし、同じサオ下攻略でも、ヘチ釣りで使うタイコ型リールは、サビキ釣りには向いていない。
サビキ釣りによく使われるコマセカゴ
防波堤釣りでは、サビキ釣りでアジやイワシ、ソウダガツオなどをねらう時、網目の細かなアミエビ用のコマセカゴがよく使われる。
そのほか、離島の防波堤などで、イサキやマダイ、大型回遊魚などをねらう時にオキアミ用ナイロンカゴが使われることもある。
3.サビキ仕掛けで釣るアジ&イワシ
魚さえいれば、だれにでも絶対釣れてしまうのがサビキ釣り。しかも食べておいしい魚とくれば釣らないわけにはいかない。
釣った魚は夕食のおかずに、酒の肴に。海の小物たちは、ファミリーフィッシャーマンの最高の対象魚なのだ
天気のよい休日、ドライブがてら漁港に出かけてみよう。アジやイワシなどの群れが回遊しているときなら、堤防のそこかしこで、これら小魚のサビキ釣りに興じるサンデー・アングラーたちの姿が必ず目に映るはずだ。歓声とともに上がる仕掛けに、鈴なりの銀鱗。さっそくクルマから道具をとりだして、仲間入りさせてもらおう。
比較的足場のよい防波堤などから手軽に釣れるアジやイワシは、ファミリー・フィッシングの絶好のターゲット。子供でも女性でも、群れにさえ当たれば必ず釣れること請け合いだ。
そのほか、
釣り場や時季によってはサバ、ムロアジ、タカベ、カマス、サッパといった魚も、同じサビキ仕掛けに食いついてくれる。また、イワシとひと口でいうが、よくかかってくるのはマイワシとカタクチイワシの2種類。
マイワシは鮮魚店でもよく見かける、いわゆる普通のイワシ。カタクチイワシは煮干しなどに利用される、やや小型のイワシだ。
口が目の後ろまで切れ込んでいるので、顔つきを見ればすぐ区別できるはず。
初夏のころになると、アジ、イワシが漁港のまわりを回遊する。
アジはまだ「豆アジ」と呼ばれる程度の幼魚で、成長するに従って沖の根まわりへと移動してしまうようだ。イワシはそれよりもう少し大きく、15cmくらいのサイズが釣れる。群れの大きさもアジより大きく、入れ食い状態が長く続く、うれしい魚だ。
釣りたての鮮度のよい魚は最高においしい。小さなものは、空揚げ、天ぷらに。ちょっと大きなサイズはたたき、刺し身に。骨ごとたたいて、つみれ汁や焼きにするのもいい。さまざまな調理法で楽しめるのだ。もちろんおみやげにしても喜ばれるし、釣れすぎたら干物に、という手もある。もしかしたらお母さんのほうが夢中になってしまうかも…。
アジ、イワシ釣りに出かけるときは、必ず前日に近所の釣具店から情報を仕入れておこう。1週間前まではよかったのに、あっという間に群れがいなくなった、なんてことがあるからだ。当日も仕掛けやエサを買いがてら、釣具店から状況を聞くこと。とにかく群れが入っている場所に行かなければ釣れないのである。
ポイントは潮通しのいいところ、つまり潮の流れがあって、常に水が動いている場所だ。基本的には堤防の先端や外側がいいということになる。釣れている人がいればすぐわかるはずだから、じゃまにならないように、その近くでサオを出すのが正解だ。
さまざまなタイプのバケがついたものが市販されているので、何種類かとりまぜて購入しておこう。魚がかかった状態で下に置くと、魚が暴れて仕掛けがぐちゃぐちゃになることがある。そんなときは仕掛けをすぐに交換。群れが留まっている間に効率よく釣らなければ、大漁は望めない。また、ハリのサイズが小さいものを用意しておくと、豆アジも釣ることができる。
足場の低いところなら、サオは渓流用の振り出しザオでOK。子供にも扱いやすいし、手返しがよくなるので釣果も伸びる。ただし、夢中になってサオを乱暴に扱わないように注意しよう。
魚が群れていて、見えるところを回遊しているようであれば、サビキ釣りに特別なテクニックはいらない。コマセカゴにコマセを詰めて、水中でちょっと振ってあげるだけで、バンバン釣れるはずだ。小物釣りはテクニックよりも、いまどこで釣れているかという情報収集が大事なのである。
しかし、こういう状況にそうそう巡りあえるとも限らない。やはり基本テクニックは押さえておいたほうがいいだろう。まず、コマセを詰めて仕掛けを投入。いったん、底にオモリを着けてから、サオ先を軽く振ってコマセをまく。
それから仕掛けを少し上げて、コマセの煙幕の中に仕掛けが入るようにする。これを繰り返して水面近くまで仕掛けを上げてくる。コマセがなくなったら詰め直して、もう一度投入。
常にサオ先は軽く動かしておこう。水中の仕掛けがふわふわと動き、それが小魚たちへの誘いになるのだ。また、1匹釣れたら、すぐに仕掛けを上げず、そのままにしておいて、ほかのハリにも魚がかかるのを待つようにしよう。
ただし、魚のサイズに対して細い仕掛けを使っているときは、あまり遊ばせておくと仕掛けがぐちゃぐちゃになってしまう。そんな場合は、1匹かかるごとに取り込むのが正解。
群れが表層に浮いてきているときは、コマセを直接、水面にまいたほうが効率がいい。この場合も、まいたコマセが広がるところに、仕掛けが入るようにする。潮の動きをよく見て、流れの上のほうにコマセをまこう。
アジは口が弱い魚なので、取り込みに手間どっているとハリから落ちてしまう。素早く、さっと取り込もう。釣った魚はバケツで泳がせるより、すぐにクーラーの水氷(大量の氷の中に海水を入れたもの)の中へ。おいしい料理を作るための、これが一番のポイントだ。
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