1.日本における環境問題関連省庁
なんにしても、日本の行政、行政機構についてはわかりにくい。
例えば「一級河川○○川」という看板がある。ときどき「二級河川」というのもある。これはどう違うのだろう。

水量だろうか? 川幅だろうか? それとも川の長さだろうか?実は、管轄している所が違うのだ。一級河川は国(国土交通省)、二級河川は都道府県なのである。よく気をつけて見ると、川の名前の下に「国土交通省」とか「○○県」などと書いてあるはずだ。

つまり、なにか不具合があったときに通報する先が違うということである。もっとも河川敷の管理が地方自治体に委託されていたりすると、さらにややこしいことになる。

とはいっても、一応の担当は決まっている。大まかではあるが、環境問題に関係が深い省庁の概略について解説する。

しかし「公害等調整委員会」が厚生労働省でも環境省でもなく、ここでは割愛した総務省に置かれていたり、これ以外の省庁にも飛び飛びに環境関連の委員会などが設置されているあたりは、省庁改変が行なわれても変わっていないわかり難さだ。それどころかリサイクル問題の管轄について、経済産業省と環境省で繩張り争いが繰り広げられているなど、内部でも混乱が続いている。

この複雑さはやはり紙面で表現するには限界があるので、ここは概略に留めるが、それぞれのインターネット・ホームページには意見や質問を受け付ける場所も置かれているし、それぞれに属する機関もホームページでPRしている。

行政関係の疑問・問題が生じた場合、その解決の糸口はやはりインターネットが一番の早道であろう。ただし、前記したように意外なところが思いもよらないことをやっているので関わりのありそうな省庁すべてを見る必要がある。

2.環境省とは
地球環境と国内の自然環境、環境管理、廃棄物・リサイクル、環境保健行政などが環境省が管轄している業務である。総合環境政策局を筆頭に、地球環境局、環境管理局、自然環境局、水環境部、廃棄物・リサイクル対策部、といった部局がある。もちろん国立公園はここの所管である。

環境基本計画、公害防止計画、廃棄物、大気汚染、自然環境保護や動植物の種の保存、公害健康被害の補償といったものは環境省が一元的に担当するとしているが、リサイクルや公害防止設備工場立地の規制、地球温暖化・オゾン層保護対策、環境省だけではできないことも多いので、他の府省と担当するものもある。

ただし、森林・緑地の保全、川・湖沼・海岸の保全や環境影響評価も後者の担当の方なので、これまたわかりにくい。

国土交通省とは
国土の利用・開発・保全、そのための整備、交通政策の推進がここの仕事である。内部部局として我々に関係深いのが、土地・水資源局、河川局、道路局、自動車交通局、海事局、港湾局などである。海上保安庁や気象庁、そして事故が起きたときの海難審判庁もここの外局であるし、「特別の機関」として地図でお世話になる土地理院がある。

河川局では堤防や堰、ダムといった治水、利水にかかわる部分を業務としており、土地・水資源局では士地政策や、水源地域の保全、活性化といった水資源の開発(ダムばかりではない)等を行なっている。「水源地域の自立・新生」という名目もある。港湾局は港や海岸にかかわる部署である。

農林水産省とは
本省と食糧庁、林野庁、水産庁からなる組織で、食料、作物などの生産物、農産漁村および中山間地域振興にかかわる。本省内は基本的に農業関係である。地方の出先機関として地方農政局、食料事務所、森林管理局、動物検疫所、植物防疫所、農林水産政策総合研究所などがある。

森林の保護、国土緑化、森林についての治水、林道は林野庁であるが、ここのところが、特に我々にとっては国土交通省などと「いったいどちらが?」と混乱させられるところ。農水省と国土交通省(旧・建設省というべきか)の問題は省庁改変でもおおいに議論されたものである。

経済産業省とは
文字通り経済(主に貿易・流通)と産業振興に関するところで、外局として資源エネルギー庁、原子力安全・保安院、特許庁、中小企業庁が置かれている。産業技術環境局もこの本省内にあり、リサイクル推進課が設置されている。

文部科学省とは
教育と文化・芸術、そして科学研究の振興にかかわる。スポーツや伝統文化についてはここになるが、芸術・文化、文化財、天然記念物については本省ではなく文化庁となる。経済産業省にも原子力についての部署があったが、研究・開発はこちらの管轄である。日本ユネスコ委員会も「特別の機関」として、文部科学省に統括されている。

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